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ローカルテレビ局の本社改修プロジェクト。周年を契機としてワークプレイスと働き方の再定義が求められました。本プロジェクトでは、私たちが全体デザインの総合監修を担い、エントランスホールを中心とした基本設計・インテリアデザイン、そしてプロジェクトマネジメントのディレクションまで包括的に取り組みました。全館を一つの思想で束ねつつも、各フロアは別々の設計者が担当し、それぞれが固有の課題と機能に応じたコンセプトを持つ“群造形的なワークプレイス”として構成されています。プロジェクト全体の大方針から、各階のコンセプト整理までを統合的に行うことで、組織の未来像を建築とインテリアの両側面から描きだし実現しました。
社内コラボレーションを起点に、地域へ向けて価値を発信する共創拠点。
節目の年に、「これからも地域とともに新しい潮流をつくる」という意思を言語化し、プロジェクトコンセプト「B-EPOCH」を策定しました。
プログラミング段階では、各部門のキーパーソンへ丁寧なインタビューを重ね、現状の働き方と将来像を可視化。そこで浮かび上がったのは、「コラボレーション環境の不足」、そして「放送局として地域により深く寄与したい」という強い願いでした。
私たちがデザインを担当した1階エントランスホールは、こうした課題と意志を受けて、地域へ開かれた情報発信と交流の拠点「Mediatheque(メディアテーク)」として再構築。多様な人が行き交い、コンテンツ・知識・文化が交差する“半公共的なメディア空間”としての役割を担うよう設計しています。
また、複数の設計チームが協働するにあたり、フロア全体の連続性と多様性を両立させるため、各階に異なる「フロアコンセプト」を設定。部署特性・働き方・空間のポテンシャルを踏まえ、アップデートされたワークスタイルをそれぞれのデザインに落とし込んでいきました。放送局の多様な専門性が自然に混ざり合い、日常的な交流が新たな番組づくりや地域との関係性につながるよう意図しています。
エントランスホール。98インチのモニターを採用して情報を発信する。
1階ロビーの「Mediatheque」。社会科見学や職業体験、イベントなどでも使える地域の交流拠点。約50人を収容してモニターでプレゼンテーションが可能。
6階では飲食や打ち合わせも可能。
6階のカフェカウンター。
6階。周辺の景観を見渡せる開放的な空間。
旧館と新館をつなぐ3階の廊下。
2階のオフィススペース。フリーアドレス席。
2階の集中席。
オフィス
1,000坪〜
広告・メディア
「地域とのコミュニケーション」や「地域貢献」を核に据えたプロジェクトでした。共創拠点は一般的に外向けブランディングとして語られがちですが、今回は“地域そのものに開く”という姿勢を一貫して重視しました。そのことで、放送局が持つ公共性と、これからのワークプレイス像が自然に交差する場をつくることができたと感じています。トレンドを発信するだけの場所ではなく、人が集い、混ざり、新しい活動が芽生えていく。その積み重ねによって地域に継続的な価値をもたらす拠点となることを目指しました。