地域のビジネスや人のつながりを生む中心地を作るという目的のもと、クライアントの想いと利用者の方の利便性の高さの両立を追求しました。築年数を重ねたビルの制約を、逆に居心地のよい「居場所」へと転換させるプロセスなど、空間のデメリットをメリットに変えるデザイン的な挑戦ができました。
SHIRASAGI Knit Industry Co.Ltd.白鷺ニット工業株式会社


姫路の未来を共創する仲間が集う、AGITO創出プロジェクト

姫路市に本社を構えるインナーウエアの製造販売メーカー・白鷺ニット工業株式会社。クライアントが抱えていたのは「世界遺産である姫路城などの豊富な観光資源を持ちながら、経由地として扱われることが多く、目的地として滞在する人が少ない」という姫路の街全体に対する課題感でした。「姫路エリアを経済的に盛り上げ、人が滞在する活気ある街にする」という長期的なゴールに向けての第1歩として取り組んだのが、今回行った自社ビルの遊休フロアのリノベーションです。目的は姫路を盛り上げる“仲間”を集めること。仲間が集い、共に働き、アイディアを創造して拡散していくための“場=AGITO(アジト)”を目指しました。
デザインコンセプトを“AGITO(アジト)”としながらも、閉鎖的な隠れ家のイメージではなく、 誰もが受け入れられる「柔らかさ」と「安心感」を重視しました。白と木目を基調とした温かみのあるデザインを採用しています。空間構成の鍵となるのは、エントランスから奥へと人々を誘うダイナミックな天井照明と床のサイン。これらが導線となり、エントランスからイベントも開催できる開放的な交流スペースが広がり、奥へと進むにつれて没入感のある集中エリアへと変化する「空間のグラデーション」を創出しています。築年数を経たビル特有の太い柱や窓際のデッドスペースを、あえて「居場所」に転換するなど、建物の制約を逆手にとった設計もポイントです。
地域のビジネスや人のつながりを生む中心地を作るという目的のもと、クライアントの想いと利用者の方の利便性の高さの両立を追求しました。築年数を重ねたビルの制約を、逆に居心地のよい「居場所」へと転換させるプロセスなど、空間のデメリットをメリットに変えるデザイン的な挑戦ができました。
床の誘導サインと連動した機能的な照明がシンボリック。
エントランスを入ると安心感があり、リラックスできる空間が広がっている。
カフェスペースからイベントスペース。柔らかいトーンのファブリックと木質、触り心地の良い素材を中心に、空間の温度感を構築。
ワークスペース。各スペースの機能を照明で表現し、木の質感を大きく取り入れることで空間に安心感を与えている。
(左)半個室スペース。周りを気にせずにコミュニケーションを取りやすい暗めのトーンに設計。(右)シェアオフィススペースは、シンプルながら棚や電源など機能性も重視。
貸出可能なミーティングスペースは、幅広い利用を見越して、シンプルななかにも高級感を演出している。
プロジェクターを有するスペースは、カッチリしたものから緩めのイベントまで幅広い使い方に対応。
(左)構造的なデッドスペースにベンチやカウンターなどの造作家具を配すことで有効活用している。(右)可動式ハイテーブルは、イベント時などに他のカウンター家具と組み合わせて利用が可能。
(左)ワークにもコラボにも対応する、スタッキングテーブル。(右)照明のラインが美しく際立ち、空間全体をつなげる。
2025年4月に完了した本プロジェクトは、施主である白鷺ニット工業株式会社のワークプレイス(オフィス)について、株式会社ディー・サインがプロジェクトマネジメント及びインテリアデザインを担当したプロジェクトです。
オフィス, その他
〜300坪
メーカー
単なる一企業のオフィス改修にとどまらず、『姫路という街をどうしていくか』という10年先を見据えた長期的な視座で、プロジェクトに関われた点が非常に刺激的でした。短期的な利益追求ではなく、街の未来を共創する“仲間”を集めるための拠点づくりという、大きな物語の第1歩を一緒に踏み出せたことに、意義を感じています。