旧銀行ビルを目指すカタチにつくり上げるためには、建物の用途変更や、吹抜を作るための構造変更といった複雑な法規を整理し、クリアさせる必要がありました。そのうえで、この場で表現したいことをすべて実現することができたと思います。
The Kiyo Bank, Ltd.株式会社紀陽銀行

旧銀行ビル再構築により生まれた和歌山の複合施設「KeySite」
人口活性化に対し積極的に取り組む、和歌山県の地方銀行 紀陽銀行が所有するビルの価値向上プロジェクトです。本案件では、単なるデザイン刷新にとどまらず、地域社会に新たな価値を創出するビルの多機能活用を含めた包括的なプロデュースを実施しました。和歌山駅からほど近い交差点角地に位置する5階建てのビルを、地域住民だけでなく、あらゆる来訪者をつなぐ拠点として新たに生まれ変わらせるために、カフェやコワーキングスペースと紀陽銀行の事務所を一体化した複合施設として再構築する提案が採用されました。
施設名称は「KeySite」。紀伊の国 和歌山県の新たな産業創出の起点となり、経済成長促進のシンボルとなることが期待されます。
「WA-modern -Next Japonism- 」を軸に和歌山らしさを体現する空間
古くから木材文化が根付く和歌山の伝統を活かし、和紙照明や木組みを採用。特徴的な空間構成として、フロア中央に吹き抜けを設け、神輿(みこし)を想起させる正方形のカウンターと浮き庭を配置。シンボリックなデザインで訪れる人を魅了し、集う人たちの交流を促進するしかけを施しました。
浮き庭へつながる螺旋階段や元銀行ならではの金庫室の活用など、訪れる人々へのワクワク感も演出しています。ところどころに和歌山らしさをもりこみ、伝統と革新を融合させた温かみのある空間を実現しました。
旧銀行ビルを目指すカタチにつくり上げるためには、建物の用途変更や、吹抜を作るための構造変更といった複雑な法規を整理し、クリアさせる必要がありました。そのうえで、この場で表現したいことをすべて実現することができたと思います。
旧銀行ならではの建物のポテンシャルに強く魅力を感じました。大きな金属扉がついた窓のない二層分の金庫室など、面白い空間が複数あり、その魅力を最大限に引き出すデザインを考える過程は楽しく、貴重な経験となりました。多くの地域住民に愛されるだけでなく、この場を目的に訪れたくなるような空間になれば嬉しいです。
伝統的な和歌山ならではの美しさと、現代的な機能性を融合させた空間をつくり上げることができました。和の要素を取り入れた落ち着いた雰囲気の中で、多様なワークスペースや休憩エリアを完備し、仕事だけでなく、リフレッシュや交流の場として利用してもらえたら幸いです。
1Fカフェスペース
ミーティングラウンジ。元金庫室の7mの天井から吊りさげた、いくつもの和紙証明が幻想的な空間をうみだしている。
2Fイベント・コワーキングスペース。螺旋階段を上ると見える浮き庭、その植栽が真っ白な天井に美しく投影される。
3Fコワーキングスペース
ATM側は暖簾(のれん)を彷彿とさせるあしらいで和の風情たっぷりのエントランスに。花壇は元の形状を活かし和歌山を象徴する柑橘類の樹を植えている。
躙(にじ)り口を想起させるメインエントランス。
右写真:衝突防止サインにはレモンのモチーフで和歌山らしさを演出。
2024年12月に完了した本プロジェクトは、施主である株式会社紀陽銀行所有のビルについて、株式会社ディー・サインがプロジェクトマネジメント/インテリアデザイン(設計)を担当したプロジェクトです。
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オフィス, その他
〜300坪
サービス・インフラ
KeySiteは、心地よい違和感と手触り感を大切にしながら、来た人が直感的にインスピレーションを得られる場としてデザインしました。訪れるたびに新たな出会いと気づきが生まれ、地域の未来を形づくる出発点となることを願っています。