28.Feb.2025インナーブランディングはオフィスにも取り入れられる?効果的な活用方法をご紹介
組織開発やHR分野でよく耳にするインナーブランディングとはいったいどのようなものなのか。
本コラムでは、インナーブランディングの意味と重要性や、働く環境への取り入れ方やオフィスにおける働き方を中心に紹介していきます。企業文化を強化し、組織の一体感を高めるためのヒントをぜひ見つけてください。

インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業理念や提供価値を定義し、自社の従業員およびステークホルダーに対して共感と行動変容を促す活動のことです。
「企業を内側から変革し、企業価値を向上させ、より理想的な姿の実現を目指す」とも言い換えることができます。企業理念を理解すること・企業に貢献しようと思ってもらうことで、従業員一人ひとりが企業の代表として役割を果たし、企業全体の信頼感と一貫性が向上するだろうという考え方です。
インナーブランディングの具体的な施策としては、社内外への広報活動や従業員研修などの教育活動に加えて、報酬制度や人事評価制度などの具体的な制度改革も含まれます。
インナーブランディングとアウターブランディングの違い
ブランディングとは、自社と自社の商品・サービスを「独自のもの」として認識してもらい、企業や商品の価値に対するイメージを向上させ、他との差別化を図る取組みを指します。
〇社外向けの「アウターブランディング」
企業ブランドや商品、サービスを顧客に認知してもらい、企業や商品価値を向上させるための活動。顧客や取引先、一般消費者などを対象としたブランディング。
〇社内向けの「インナーブランディング」
企業の理念やビジョン、価値観を社内全体に浸透させる一連の活動。企業の従業員や関連する内部のステークホルダーを対象としたブランディング。
社内外向けのブランディングにそれぞれに取り組むことによって、ブランドに一貫性を持たせることができます。一般的にアウターブランディングが有名ですが、インナーブランディングによって顧客に対応する従業員一人ひとりが企業理念を体現することで、アウターブランディングにも好影響を及ぼすことが期待できます。そのため、近年ではインナーブランディングの重要性が高まっています。
インナーブランディングの必要性
インナーブランディングは企業にとって、とても重要な観点の1つとされていますが、その理由は大きく2つあります。
・エンゲージメント向上による離職率の改善
生産年齢人口の減少による人材獲得競争が激化している昨今、人材流出を防ぐ視点も重視され、インナーブランディング実現による従業員のモチベーションアップが期待されている。
・現場の意識改革による企業の持続的な成長
社内で自社の価値が把握されていない場合、社外に対して正しくアピールしにくい状態。まずは社内で企業理念・提供価値などを深く理解・共感し、実践できる環境をつくること。それにより従業員の取り組みを高め、企業の成長につなげることができる。
従業員一人一人に企業理念や自社の価値観を浸透できれば、企業としての目標達成や企業価値の向上も目指しやすくなるため、インナーブランディングの活用が期待されているのです。
インナーブランディングの取り入れ方
インナーブランディングの取り入れ方には大きく分けて2つの手法があります。
取り入れ方①:コミュニケーション促進を目的とした施策
ソフト面からインナーブランディングに働きかけるために、コミュニケーションを促進することは重要です。
コミュニケーション施策には下記が挙げられます。
・社内報
自社向けの情報が掲載された広報メディアで、自社事業の景況・経営陣からのメッセージ・従業員インタビューなどを載せる。
・クレドの作成
ラテン語で「信条」や「志」、「約束」を意味する言葉で、企業においては自社が活動する上でのポリシーやあるべき姿を簡潔に記したもの。これからの会社の目指す道を明確化することができる。
・社内イベント
懇親会やゲーム大会・社員旅行など、業務から離れた社内イベントは、上司や同僚、部下の普段見られない一面を垣間見るきっかけとなる。
・ワークショップ
企業が従業員に期待する行動やスキル、意識をより現場に即した形式で伝え、その場で従業員が議論することによりより企業への理解を深めるきっかけとする。
・サンクスカード
従業員間で感謝の気持ちをカードに書いて伝え合う施策のこと。普段言わないポジティブな言葉を伝えることで従業員の関係をよくすることが目的とされる。
・1on1
評価面談とは異なり、メンバーが業務を通じて得た体験や課題、悩みを上司と共有する。
取り入れ方②:働く環境を通して、行動変容・意識改革を促す
働く環境とは「場・物理的な環境(ファシリティ)」「ICT環境」「運用環境」のことを意味しており、それらの変化は、従業員の行動の変化を導き、やがて新しい意識を形づくります。働き方に「インナーブランディング」をどう取り入れ、具体的な行動としてどうなってもらいたいのか、どんな意識を持って行動してもらいたいのか、を明確にし、その行動・意識に訴えかける場を作っていくことが必要です。環境が行動を変え、行動が意識を変えるという手法をディー・サインは大切にしています。具体的な変化の手法としては、以下が挙げられます。
〇場・物理的な環境(ファシリティ)
インナーブランディングとして標語を掲げておこうという施策案が安易に出てくることもあるが、従業員が日常的に稼働する環境を、会社の方針や目指す働き方を体現した場にすることで、いつでも意識に働きかけられる環境にできる。例えば、議論を活発にしてほしいと願うならば、議論しやすい距離感や家具の設えを仕立てるなど。
〇ICT環境
インナーブランディングの取り入れ方として、従業員に起こしてもらいたい行動や意識を素地とし、そのために必要なツールを導入するなど、効率的に仕事ができる環境を用意する。
〇運用環境
従業員に変えてもらいたい意識や行動を明確にし、運用を決める必要がある。例えば、部門を越えたコミュニケーションを促進したいのであれば、部門の異なる人同士が接する機会を提供する施策とは、どんなものがあるか検討してはどうか。とある企業は、オフィスカフェで「数人の部門が異なる従業員が集まってオーダーすると無料になる」といった運用例もある。
オフィスは企業そのものであるため、従業員や訪れる人の意識に訴えかけやすいのです。オフィスの移転やリニューアルを検討する際には、達成したい行動変容と意識改革を実現するために、企業の目指す姿をオフィスを使って体現したり、レイアウトが変わったことによって意識的に行動を変化させるなど、インナーブランディングを重視してオフィスをつくることもおすすめします。
インナーブランディング取り組み事例|dely株式会社
事業拡大と従業員の増加に伴う、本社オフィスの移転プロジェクト。
delyのビジョン「BE THE SUN」を体現しつつ、急成長を支えられるオフィスをデザインしました。オフィス全体を一つの街として捉え、その中に存在するdelyの拠点を一つの特区として定義しており、クリエイティブな活動やオープンコミュニケーションを支えるエリア、情報発信のエリアなど、多様なエリアによって街区(オフィス)が構成されています。

https://design-inc.co.jp/projects/3769より写真を抜粋。事例詳細はURLにアクセス。
インナーブランディング取り組み事例|株式会社博報堂アイ・スタジオ
博報堂アイ・スタジオが掲げた「新しい働き方」の基本方針を軸に、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、互いを尊重しながらチーム全体がいきいきと仕事できる快適なオフィスを目指しました。
マテリアルは木目と白を基調にしたデザインとし、執務エリアに4つ点在する会議室には、それぞれテーマカラーを決め、使用しているチェアのファブリックも同系色にしています。


https://design-inc.co.jp/projects/3875より写真を抜粋。事例詳細はURLにアクセス。
インナーブランディングを取り入れたオフィス構築は、ディー・サインにお任せ
インナーブランディングは企業理念や価値を定義し、自社の従業員に対して共感と行動変容を促す活動です。インナーブランディングはコミュニケーションの促進やオフィスレイアウトで体現することができます。オフィス移転・改修を検討する場合には上記のようなインナーブランディングを取り入れることで企業価値を向上させていくことができます。我々は、企業の目指す姿を戦略的に描き、その戦略を実現するためにワークプレイスをデザインします。
<「環境」が「行動」を変え、 「行動」が「意識」を変える。>我々がどんなプロジェクトでも、意識しているPHIROSOPHYです。企業はステージの変化に応じて、従業員の意識改革を求められます。意識を変えるのに最も有効な方法は、日々働く環境を変えることだとディー・サインは考えます。
1枚目画像著作者:tirachardz/出典:Freepik
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