22.Dec.2021「アイディア、拾ってください。」シリーズ#1 アルコールディスペンサー
今回より、ディー・サインの「アイディア、拾ってください。」シリーズを配信開始します。初回は…アルコールディスペンサーについてリサーチし、そこから発展させ、今までにないインテリアに溶け込むプロダクトをデザインしてみました。
ディー・サインの「アイディア、拾ってください。」シリーズとは
我々は、クライアントに納品する家具等を設計し、造作家具として納品する機会が多々あります。またそのほかにもプロダクトデザインを行い、家具メーカーから販売していただいている商品もあります。
事例 ゴミ箱“o-Ne”
事例 パーティション“LE PONT”
事例 ボックス収納“TORSOO”
※一部抜粋
ディー・サインでは、我々の業務領域や既成概念にとらわれずリサーチや試行をしています。ディー・サインの「アイディア、拾ってください。」シリーズでは、一部メンバーがあつまって、とあるプロダクトに関する調査を行い、新しいプロダクトデザインを起こすきっかけをつくるシリーズです。ディー・サインのクリエイティブ脳を動かし続けるためのチャレンジとして、取り組んでいます。これから不定期更新にて、進捗をお知らせしていきたいと思っていますので、ぜひお楽しみに。
なぜアルコールディスペンサー?
今や私たちの生活に欠かせないものの一つとなったアルコールディスペンサー。コロナ禍になる前からある製品を何気なく使い続けていますが、あらためて見直してみることにしました。
場をデザインするディー・サインとしても、設計した空間に必ず付随してくるアイテムになり、家具や照明を選ぶように、アルコールディスペンサーも選べたらよいのではないか?という意見が上がりました。
現状はどんなものがあるの?
よく見かける、アルコールディスペンサーの代表的な3つの形状の例を挙げてみます。
- ●意匠性はあまり優れていない、限りがある
- ●機能性を重視
- ●どこでも使える(場所を固定しない)
どんな場面で使われている?
どんな場面で設置され、利用されているか見直してみました。
- ●オフィス、飲食店、商業施設、自宅 人が集まる場所すべて
- ●施設の規模により種類・大きさは異なる
- ●施設のグレードによってディスペンサーのデザイン性が上がっているわけではない(どこでも同じものをつかっている)
施設規模の大小や、利用者数の大小に応じて使用されているディスペンサーの液量に差があるものの、デザイン性に関しては大きな違いは見受けられませんでした。
現状からみえてきたことは?
- ●機能はすでに満たしている
- ●意匠性に優れているものはない
- ●質の良いもの悪いものというより、価格の安い高いで戦っている
- ●基本的にデザインは似たり寄ったり
これまでの考察をまとめてみましょう。既存商品を調べた結果、機能だけで比較するとあまり差が見られないためか、価格競争が激しくなっているようです。機能としては大きな不満を感じることは少ないようですが、意匠性に富んだ商品はまだまだ少なく、デザインの観点で商品を選べるほど選択肢がないようです。
実際に使用される空間や場をイメージして、どんなものがいいか考えてみました。
我々がデザインするなら、“実際に使用される空間や場をイメージし、設計者としてスペックしたくなるようなハンドサニタイザーをつくってみよう”ということで、次のデザインの段階に進むことにしました。リサーチの結果を踏まえ、“人目に付きやすいホテルや店舗等の商業空間の入り口にて、固定化されたうえで利用されること”を想定してプロダクトを設計してみることにしました。容量より意匠性を優先し、空間ブランディングを損なわないプロダクトを目指しました。
仮置きされるものではなく、その空間に最初から意匠としてスペックされるものを。
“設計者としてスペックしたくなるようなハンドサニタイザーを”という企画の主旨から、仮置きされたような印象を受けないこと、その空間の意匠の一部として存在していることを軸に、デザインを起こしていきます。
意匠性は保ちつつ、形状に癖がありすぎると汎用性が少なく、プロダクト化が難しいのではないか?という話し合いになり、そのバランスをとったデザインを狙って設計していきました。
意匠性を保ちつつ、プロダクトとして空間になじむハンドサニタイザーとは?
新しい習慣として定着したハンドサニタイザー。店舗に入ったら自然とどこにあるか探すように習慣がついていませんか。家具も、照明もインテリアの一部として相応しいものを選ぶなら、ハンドサニタイザーも空間に相応しいものになるように考えてみました。
エントランスやレセプションカウンター横に置くことを想定し、空間のアクセントとなるように。直線的な要素と、球体(1つは消毒液タンク、もう一つは照明)のやわらかな印象で意匠性はあるものの、いろんなインテリアになじむのではないでしょうか。
カスタムバージョンも計画。
空間に合わせて素材がカスタムできると、「エレガントな空間に合わせるなら真鍮やシャンパンゴールドのパイプ」、「あたたかみのある空間には木目をセレクト」など、利用する空間のイメージを固定化させず、使用する場面に相応しいものとなります。今回は、プロダクトのパーツを5つに分け、それぞれに3~10種の素材を設けてみました。
デザインしてみた感想。
我々の企画、いかがでしたでしょうか?
今回の掲載では、デザイナーチームのメンバーが思うがままに、「こんなのあったらいいのにな」という気持ちで、多少ハイレベルな仕上げではあるものの、実際にあったら面白いと思えるアイディアを形にしてみました。
もちろん、初回から課題がないわけではありません。使い勝手や汎用性など、実際に細かく話し合い、詳細までデザインを起こすことで見えてきた課題もあります。例えば、今回は空間になじむことを意識してデザインしたものの、なじみすぎて、サニタイザーと気づかれないのでは?意匠+サニタイザーならではの形状ってあるのかな?などが現時点での課題です。また、機械部分については既存製品の中身を見て想像しながらデザインしたものの、実際はどのようにおさまるかも詰めていきたいところです。具体的に我々の次のプロダクト企画に活かして、日々研鑽していこうと思います。
次回もお楽しみに!
- カテゴリ
デザイン/プロダクト/商品企画
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