[掲載情報]SBテクノロジー株式会社が運営するWEBサイトに、取締役の今村剛が掲…
SBテクノロジー株式会社が運営するWEBサイトに、ディー・サインの取締役の今村剛と同社社長の阿多親市様との対談記事が掲載されました。
オフィスは、空間の工夫によって機能や生産性を高めたり、従業員の満足度を高めたりするパワーを持っています。オフィスを通じて組織再生や組織活性化を後押しすることもできます。
こうした取り組みへの関心は高まる一方ですが、未だに日本での取り組みは欧州レベルに追いつけてはいないのが現状です。
オランダ・アムステルダムのビジネス地区の中心に位置する「The Edge(ジ・エッジ)」は、15階建てのアトリウムを持つオフィスビルです。欧州で最高レベルの環境性能を具現化し、数々の賞を受賞しているオフィスビルであり、前述したようなニーズをくみ取った「働き方を変えるビル」として有名です。今回は世界で最も注目を集め、学ぶべきことが多いこの「The Edge」をご紹介します。
「The Edge」での1日は、スマートフォンアプリから始まります。建物の主テナントであり、世界を股に掛ける会計事務所デロイトが開発したものです。
目覚めたときから、あなたはもうこのアプリを通してつながっています。このアプリが入ったスマートフォンは、いわばEdgeへのパスポートのようなものです。
例えば・・・「The Edge」に到着すると、建物があなたの車を認識し、駐車場に誘導してくれます。到着すると、ガレージのエントリーは自動化されており、カメラがナンバープレートの写真をスナップし、雇用記録と照合し、ゲートを開けてくれます。
ガレージに入ると、センサ搭載のLEDライトが、あなたが近づくにつれて明るくなります。(これは日本の大型スーパーでも、たまに見かけますが、空いている場所を教えてくれるんですね。)
このほかにも、アプリはあらゆることをしてくれます。
例えば、あなたのスケジュールをチェックし、一番よい執務席を探してくれます。(このビルでは、全社員が固定席を持たずに働くフリーアドレススタイル、いや、フリーアドレスより進化したアクティビティベース型ワークスペース※1なのです。)
もし、「Aさんと話したい」と思ったときは、アプリが同僚がどの席に座っているか探してくれます。また、このアプリは自分の近くにある暖房を調整したり、照明の明るさを変えたりしてくれます。正確にはアプリに従業員ごとに好みの温熱環境といった情報を記録でき、従業員がその都度選んだ場所の温熱環境などを、記録を参照しながら調整することができるんです。
アプリは、ジムのルーチンワークを記録管理するのにも使用できますし、夕食のレシピに必要な食材を注文することだって、できるんです。就業時間が過ぎると新鮮な食材の袋がビル指定の場所に届けられ、保管されているので、買い物に行く手間が省けます。
もちろん、すべてのデスクには内蔵のワイヤレス充電器が装備されていますので、携帯電話はいつでも充電で可能です。
これらを実現するために「The Edge」には約28,000個のセンサーが詰まっており、ここで働く人の働き方及び生活をサポートしてくれています。
ここでは約3100人が働いていますが、座席はおよそ1000人分しかありません。代わりに、ラウンジチェアやコーヒーバーといった場所が至る場所にちりばめられています。採光のために幅を抑えた執務空間や、各階から見通せるアトリウムを介して、人と人が自然に出会う機会を創出しているのです。
このビルにあるワークスペースの種類は、とても幅広く用意されています。座席デスク、立っているデスク、仕切られたデスク、開放的な長テーブル、カフェスペース、ミーティングルーム、バルコニー席、ラウンジ席、バーカウンター、集中室。
あなたの行き先は全てスケジュールに基づき、かつ空いている場所を案内してくれます。どこに行くにしても、アプリはあなたの光と温度の好みを知り、それに従って環境を調整してくれるのです。
英国の格付け会社BREEAMによると、「The Edge」は過去最高のサステナビリティ・スコアを与えた世界で最も緑の多い建物だそうです。
アトリウムには独特の自然換気のループが作られています。わずかな熱の変化や気流が屋外のように感じるつくりとなっており、晴れた日でも、建物は自然光とガラスの角度で乳白色のまま、ちょうどよい明るさを保ってくれます。
ちなみに、「The Edge」はエネルギー管理の面でも特徴があります。
大きな窓からの自然光が明るさを確保し、熱効率の良い設計のビルのおかげで、「The Edge」は典型的なオフィスビルに比べると7 0%も少ない電力で稼働できています。それだけではなく、隣接する大学の建物の屋上にソーラーパネルを設置したことにより、「The Edge」で消費するよりも多くのエネルギーを生み出すことができました。
また、建物内でどこで働いていても、どれだけのエネルギーを使用しているか、アプリを通してユーザーに知らせることによって、エネルギー使用を意識して管理するように設計されています。
アトリウムは15階分すべてが吹き抜けになっています。
ここは会社内の世界と外部世界との間の空間として機能し、建物の中にいながらも外に出かけたような気分を提供してくれます。吹き抜けというと、どうしても光熱費の無駄が多いイメージですが、このビルはとてもエネルギー効率のよい状態に作られています。
ここまで便利に作られていると、どんな個人的情報も明らかになってしまうのではないか、と不安になるかもしれません。しかし、もし上司がEdgeのセンサーからの個人的なデータにアクセスしようとしても、それはできません。
例えば、今年何回会議に出席したかなどという情報はわからないようになっています。アプリを開発したデロイトは、プライバシーに関する懸念を敏感にキャッチするために、駐車場におけるナンバープレートスキャナをインストールする前に、従業員へアンケート調査をおこないました。結果、回答者の大部分は、仕事が楽になっている限り、それが問題ないと回答し、現在の運営に結びついているそうです。
デロイトは「The Edge」の移転後、採用活動のために実施している「キャリアオープンデイ」と呼ばれるイベントへの応募者が2.5倍に増加したといいます。就職希望者から送られてくる履歴書も倍増し、就職希望者の62パーセントが「The Edge」で働けることを応募理由に掲げたという結果でした。
やはり、海外でもオフィスは人気を集める理由となっているようです。
まだまだ紹介しきれないほど魅力あふれる「The Edge」。もっと詳しく知りたい方はこちらの動画がおススメです。https://www.bloomberg.com/news/videos/2015-09-23/see-the-world-s-greenest-office-building-the-edge (Bloombergサイトへリンク)
記事参照元: Bloomberg ( https://www.bloomberg.com/features/2015-the-edge-the-worlds-greenest-building/ )
記事参照元: Arch Diary ( https://www.archdaily.com/785967/the-edge-plp-architecture )
※1:アクティビティベース型ワークプレイスとは、コスト効率や組織のフレキシビリティだけではなく、個人の働き方の自由度に重きを置いたワークプレイスの作り方です。固定席を設けないという点では、フリーアドレスと似ており、フリーアドレスの進化版だという人もいます。
[Activity Based Working]の略でABWと略されます。「アクティビティベース型ワークプレイス」とか「アクティビティベースドワーキング」と呼ばれています。
オフィスに限らず、自由に場所を選択し働くことによって、よりクリエイティブな成果を促す仕組みを指します。外に行かなくとも気分を変えられるように、オフィス内に少なくとも10以上の様々なタイプのスペースを設け、働く環境の選択肢を増やしているという企業もあります。
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