[掲載情報]SBテクノロジー株式会社が運営するWEBサイトに、取締役の今村剛が掲…
SBテクノロジー株式会社が運営するWEBサイトに、ディー・サインの取締役の今村剛と同社社長の阿多親市様との対談記事が掲載されました。
続々と誕生するコワーキングスペース。働き方の多様化に伴い、企業の注目が高まっています。成功しているコワーキングスペースのコミュニティのつくり方を探ってきました。
2018年4月、地域に根ざしたコワーキングスペースの運営者を養成するプログラム、「Coworking School Camp」が横浜で開催されました。雑誌、Webメディアでも取り上げられ、注目を浴びるコワーキングスペースの運営者4名が講師を務め、魅力的な場をつくり、運営するノウハウを受講生にレクチャーしました。コワーキングスペースの魅力とコミュニティづくりのヒントを探るべく、ディー・サイン入社1年目のスタッフがこのプログラムに参加してきました!当日の様子を交えてレポートします。
そもそも、なぜ近年コワーキングスペースが企業に注目されているのでしょうか。
これまで「コワーキング」という新しい働き方の主体はフリーランスや起業家など独立した個人が中心でした。しかし近年は企業に勤める組織人にまでそのユーザーの裾野が広がり始めています。その大きな理由のひとつは、政府の推進する働き方改革の一環として注目されるテレワークです。テレワークとは、ICTを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。各地に点在し、働く環境の整ったコワーキングスペースはその就業場所として選択肢のひとつになっています。
多様な働き方のニーズに応えるべく、先進的な企業では複数の異なる環境を従業員に提供しています。その中でもオフィスにコワーキングスペースのような柔軟性の高いスペースを取り入れ、積極的に活用していくことは世界的なトレンドとなっています。先進国であるアメリカでは、こういったスペースは「フレキシブルスペース」と呼ばれ、ここ数年で急速に拡大しています。※2010年から2017年までの7年間で約29万坪から約144万坪の約5倍に増えているというデータがあります。
※JLL Coworking’s unstoppable market growth
http://www.us.jll.com/united-states/en-us/research/property/office/coworking-market-growth
このプログラムの講師のひとりであるOFFICE CAMPの坂本大祐さんは、コワーキングスペースの魅力ついて次のように語っています。
「予定調和な出会いではなく、予想もしていなかった偶然の出会いが生まれること」
通常のオフィスであれば、来客は事前にアポをとり、事前に決められた議題をもとに会議がはじまります。一方でコワーキングスペースでは、常に多様な職種の方が様々な目的で出入りしています。例えば、サラリーマンが隙間時間に作業をしたり、フリーランスデザイナーがクライアントと会議をしていたり、イベントで訪れる人がいたりします。利用する人の属性の多様さゆえに、従来生まれ得なかったつながりが生まれることがあるといいます。
OFFICE CAMPでは、アポイントに訪れた方に、関心領域の似た別の利用者さんを紹介するということは日常茶飯事だそうです。
また坂本さんは次のようにも話しています。
「コワーキングは効率性よりも、ないものを生み出すのに適した場であると思う」
クローズドなオフィスでは、外部からの刺激が少なく、発想が狭くなりがちです。多様な職種、関心、専門分野を持つ人が出入りしワークする場だからこそ、これまでにない化学反応が起こり、イノベーションが生まれる可能性を秘めているのです。
こうした「偶発性」と「創造性」はコワーキングスペースの大きな魅力であると感じました。企業もコワーキングスペースが持つ「偶発性」と「創造性」に大きな期待を寄せています。2016年にヤフー株式会社が、自社オフィス内に開設したオープンコラボレーションスペース「LODGE」も、外部人材との情報交換や新たな協業を狙いとしています。実際に「LODGE」では偶然訪れたエンジニアが凄腕であったため、ヤフーの社内研修で講師を務めたりといったコラボレーションが起きているそうです。
講師の方々は成功するコワーキングスペースの共通点として「コミュニティ」を挙げていました。しかしそれを具体的につくっていくことは難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。そこで、ここでは本プログラムでレクチャーされた、人を引きつけ、人と人とを結びつける「コミュニティマネジメント」のポイントを3つご紹介します。
「コミュニティに多様な人をひきつけるには場の目的や運営者の想いがユーザーに共感されるものでなければいけない」と講師であるmass×massの森川さんは言います。そしてその第一歩として「場の目的や運営者の意図をオープンにすること」を挙げています。例えば飲食店の場合を考えてみてください。お店のこだわりやコンセプトが分かりやすく、自分の興味や嗜好とマッチする部分を見つけられると、また行きたい!という気持ちになりませんか?
また徐々にコミュニティのメンバーが増えてくると、メンバーの存在そのものが場のコンセプトの発信になります。例えば「あの人が行っているなら、おもしろいところなのかもしれない!」というように。
そこまでコミュニティが成長すると口コミで面白い人が集まってくる好循環が生まれます。
「コミュニティづくり」というと「イベント企画」が思い浮かぶ方も多いかもしれません。しかし講師のyuinowaの鈴木さんは「イベントはきっかけでしかない」と強調します。イベント開催自体が目的化するのではく、それを運営にいかに活かすのかを意識することが大切だそうです。
具体例としてはどんなことが考えられるでしょうか。個人的には、イベントの主催が誰であっても、冒頭で開催場所の紹介や利用案内をアナウンスすることは有効だと思います。本来はワークスペースであることを認識してもらうことで、イベント来場者の方に通常時にも足を運んでもらう確率が上がるかもしれません。
この他に、実際にイベント企画においてどのような工夫が効果的なのか聞いてきました。ここでは2点ご紹介します。
1つ目はイベントの参加者同士をつなげることです。イベントでそのスペースを初めて訪れる人にとってはそこで利用者の方とのつながりができ、コミュニティについて知る良い機会となります。またトークイベントの場合では、シンプルにトークを聴くだけで終わるよりも参加者同士のつながりが生まれたほうが参加者の満足度が高いそうです。イベントのプログラムにグループワークを組み込んだり、イベント後に懇親会を開催すると良いかもしれません。
2つ目は利用者がイベントの主催者になるようにサポートすることです。運営者の主催するイベントではなく、利用者に場所を活用してもらうことでコミュニティに良い刺激となるそうです。このような形で利用者にもコミュニティづくりに積極的に関わってもらうことが、コミュニティの活性化につながり、コミュニティマネジメントにおいて理想的だといいます。
場があり、人が集まると自然にコミュニティができるかというと、そう簡単にはいきません。たとえ隣に座った人でも、お互いのことをよく知らない他人同士で話が始まることはほとんどないですよね。
利用者をつなげ、コラボレーションを促進させるためには「雑談が生まれやすいシチュエーションをいかにつくるかが肝になる」と鈴木さんは解説します。そこで登場するのが、利用者をかきまぜ、コミュニティ内の交流を深める役割のコミュニティマネージャーです。まずコミュニティマネージャーが、受付として利用者を迎え入れることで接点ができ、雑談が生まれます。
その雑談の中から、利用者の関心やお仕事の内容、「〇〇ができる人を探している」といった困りごとなどの情報がキャッチできます。そうして集めた利用者情報やイベントの参加者情報を蓄積し、スタッフの間で共有することによって、場に集う人同士の有益なマッチングの実現がサポートできます。
利用者の立場からすると、その場を利用することによって自然とコネクションが増えていくことが大きなメリットとなります。
あるコワーキングスペースでは、コミュニティマネージャーにファンがついて、この人がいるから来たい!とリピーターになる方もいらっしゃるそうです。
今回このプログラムには、首都圏を中心に全国各地から参加者が集まりました。参加者のみなさんは講師の方々のお話に真剣に耳を傾け、また自分のプランを発表されていました。そのエネルギーには終始圧倒されました。
コワーキングスペースというと、その空間やしつらえが注目されがちです。しかし「コミュニティマネジメント」の観点では運営者やコミュニティマネージャーなど「人」が大切であるという点に大きな気づきがありました。今後の企業の場づくりにおいても、利用する人々の満足度を高めるために「人と人を結びつけること」を意識した施策が重要になると思います。今回ご紹介したコミュニティマネジメントのノウハウを参考にしていただけるとうれしいです。
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