3.Oct.2025 EVENT 第24回 リアルFM会:世界の働き方トレンドについてトークイベントを開催

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FM(ファシリティマネジメント)担当者のコミュニケーションを目的に定期開催している「FM会」。本記事では、会の様子を一部ご紹介していきます。第24回目となった今回は、Vitra Japan、インターオフィス、ブルックの3社にご協力いただき、2025年の世界の働き方最新レポートと日本の設計事例を交えてお届けするトークイベントを開催しました。

目次

      • FM会って?
      • 気になる内容は?
        – WORK PANORAMA2025について
        – WORK PANORAMAを踏まえた日本の設計事例について紹介
        – 参加者からの質疑応答
        – オフィス見学の様子

        • 参加者からのリアルな感想をご紹介

     

FM会って?

業界の枠を超えて集まる、ファシリティマネジメント担当者の会

様々な企業・団体のワークプレイスマネジャー(ファシリティマネジメントの担当者)が業界の枠を超えて集まるFM会。日々のオフィス運用の中で発生する課題・悩みを気軽に相談できる、コミュニケーション会として発足しました。

FM会は、皆さんの知恵が『輪』となり、継続的に『輪』を広げていくことを目的としており、毎度開催場所を変え、オフィス見学や講演などを絡めながら、DE-SIGNグループが主軸となって有意義な会の運営を行っています。

気になる内容は?

デザイナーズ家具やインテリア製品を製造・販売する世界的なメーカーVitra スイス本社のリサーチチームが世界各地の最先端オフィスや建築を調査し、年に1度オフィス業界向けに発表している未来の働き方を展望した最新レポート「WORK PANORAMA 2025」についてVitra Japanの出口様よりお話いただきました。

WORK PANORAMA2025について

2025年版のレポートでは、テクノロジーと人間性の両面から「これからのワークプレイス」を考察していました。特に注目されたのは以下の6つのテーマです。

訳:GENERATIVE AGE(生成AIの時代)、NEXT WORK SKILLS(次世代の仕事スキル)、EXTENDED REALITIES(拡張現実)、BETA WORK(未完成な働き方)、SHORTAGE OF RESOURCES(資源不足)、HUMAN TO HUMAN(人と人の交流)

中でも「NEXT WORK SKILLS(次世代の仕事スキル)」として注目されたのは、2030年に向けて85%の企業が「人材のスキル向上」を経営課題のトップに置いているという点でした。
特に「ソーシャルラーニング(社会的学習)」が職場環境における大きな鍵とされ、働く場そのものが学習の舞台となることが強調されました。

特徴的な事例:On本社オフィス

その代表的な事例としてスイスのランニングシューズメーカーOn(オン)本社オフィスが紹介されました。

スイス発のランニングブランドのOnは、プレミアム(高価格帯)のランニングシューズ市場において人気を博し、スイスで1位、ドイツで4位、そして日本とアメリカでは成長率1位という好調ぶりをみせています。そんな急成長する同社が直面した「ベンチャーマインドをどう維持するか」という課題に対し、建物内部には階段や共用スペースを随所に設け、人が行き交うことで偶発的な会話や学びが自然に生まれるよう設計されています。

社員の作業エリアは、一人ひとりに割り当てられた席が整然と並ぶようなレイアウトですが、壁を設けずワンフロア全体を一体空間にしています。隣の電話対応が自然に耳に入り、同僚がその場で助言したり、経験の浅い社員が学んだりできるような環境です。

この事例はWORK PANORAMA 2025の中でも最も具体的に紹介され、動画や現地レポートを通してその実践的な価値が示されました。

WORK PANORAMAを踏まえた日本の設計事例について紹介

インターオフィスの米倉様とブルックの小川様より、両社で特殊フロアの設計を担当された、ハミガキや洗剤、医薬品などを製造する日本の大手化学メーカーの事例が紹介されました。
発表では、WORK PANORAMAが提示した未来の働き方の示唆を受け、日本のプロジェクトにどのように反映されているかを1つの事例を通して語られました。

コロナ禍を挟んだ大規模な移転計画の中で、拠点を統合しつつも、社員が安心して働ける空間をどのように実現するかがテーマとなった某プロジェクト。
そこで導入されたのが、来訪者と社員双方に企業らしさを体感させるエリアや、家具やパネルを柔軟に動かして用途を変えられる共創スペース、さらにウェルビーイングや学習を支援する多目的フロア、日常的な交流やイベントに活用できるカフェテリアなどです。単なるフリーアドレスの導入にとどまらず、半年ごとの検証を繰り返しながら運用を定着させる工夫も重ねられたそうです。

こうした取り組みを通じて、偶発的なコミュニケーションやハイブリッドワークに適応できる空間が形づくられており、テクノロジーと人間性を両立させる設計の方向性が具体的に示されていたのが印象的でした。

参加者からの質疑応答

プレゼンテーション後は、質疑応答を行いました。多くのご質問をいただき、普段は聞くことのできない貴重なお話を伺うことができました。

いただいた質問
Q.オフィス回帰などもありますが、これから5年後のオフィスとして、どんなトレンドが生まれそうですか?
Q.コミュニケーション、コラボレーションの推進という課題に対して、フリーアドレスの使い方、コワーキング活性化の成功事例が知りたいです。
Q.可動空間の電源はどう確保していますか?
Q.新しい場の定着方法はどういった工夫をされていますか?
など…
※回答は参加された方にのみ公開しております。

オフィス見学の様子

その後は会場であるインターオフィスのオフィス見学を行いました。

Vitra社が提案するオフィスコンセプト「Club Office(クラブオフィス)」の思想を取り入れた空間となっておりました。クラブオフィスとは、どこでも働ける時代に“なぜオフィスに集まるのか”を問い直し、単なる執務場所ではなく、人が集まり交流し、企業文化を共有できる「クラブ」のような拠点としてオフィスを再定義した考え方です。

インターオフィスのオフィスでは、その思想を体現するようにゾーニング(空間をテーマや用途に分けて考えること)がなされ、交流のための「パブリックエリア」、チームで活動する「セミパブリックエリア」、個人で集中できる「プライベートエリア」がバランスよく配置されていました。さらに注目すべきは床材の使い分けです。交流スペースには上質な大理石、協働エリアには温かみのあるフローリング、集中スペースには落ち着いたカーペットを採用し、歩くだけで空間の違いが自然と伝わる設計となっていました。

PUBLIC
社外の方々とコミュニケーションを取ったり、家具のショールームとしてシーズナルな展示をご覧いただくエリア。

SEMI PUBLIC
社内外のコミュニケーションが活発なエリア。大きな家具が空間を緩やかに分けている。

PRIVATE
個人のタスクに集中できるエリア。静かな環境を保てるような吸音什器が設置されている。

参加者からのリアルな感想をご紹介。

その後の懇親会にも多くの方がご参加いただき、有意義な時間となりました。

懇親会の様子

FM会では、ご参加いただいた方へアンケートを実施しています。

オフィス見学にもご参加された方の感想をご紹介します。

・デザイン会社なだけあって、サンプルとして機器や家具がみれたのが良かったです。
・設計者の意図や、現状の使用状況までリアルに聞けるのが、とても参考になりました。
・世界の他社事例など視座の高いお話しを伺えて、大変勉強になりました。

今回もたくさんの方に参加いただき、ありがとうございました。(参加者:20名)
リアルFM会では、ご担当者の方にオフィスファシリティの詳細を気軽に聞ける機会をご提供しています。今後も、お気軽にご参加ください。

過去のFM会レポートはこちらをご覧ください。

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