21.Nov.2025 EVENT ライオン株式会社で開催された『第25回FM会』レポート – 社員主導で活性化されたオフィスの成功事例 –

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FM(ファシリティマネジメント)担当者のコミュニケーションを目的に定期開催している「FM会」。本記事では、会の様子を一部ご紹介していきます。 第25回目となった今回は、ライオン株式会社のオフィスにて開催しました。延べ床6,620坪のビル一棟を活かしたオフィスについて、FM会でご説明いただきました。

※記事の最後にライオン新本社紹介動画をご提供いただいております。

目次

・FM会って?
・気になる内容は?
‐オフィス移転の背景と方針
‐社員の自発性が育まれる、進化し続けるオフィスとは?
‐自然を感じるエントランスを、”ライオンらしさ”が伝わる場へ
・オフィス見学の様子
・参加者からのリアルな感想をご紹介

FM会って?

業界の枠を超えて集まる、ファシリティマネジメント担当者の会。

様々な企業・団体のワークプレイスマネジャー(ファシリティマネジメントの担当者)が業界の枠を超えて集まるFM会。日々のオフィス運用の中で発生する課題・悩みを気軽に相談できる、コミュニケーション会として発足しました。

FM会は、皆さんの知恵が『輪』となり、継続的に『輪』を広げていくことを目的としており、毎度開催場所を変え、オフィス見学や講演などを絡めながら、DE-SIGNグループが主軸となって有意義な会の運営を行っています。

気になる内容は?

第37回日経ニューオフィス賞・全国推進賞を受賞された、歯みがきや洗剤などを製造する大手生活用品メーカーであるライオン株式会社の本社オフィスについて、総務部長 兼 ベストオフィス構築グループ マネジャー 西本様よりお話をいただきました。

オフィス移転の背景と方針

2023年に4つの拠点から統合移転してつくられたライオン本社。単なる「引越しプロジェクト」ではなく、企業文化そのものをリデザインする機会と位置づけていたそうです。移転前と比べて全体面積・1人当たり面積は縮小したものの、これは効率化のためではなく社員の行動とつながりを変えるための再配分を目的としていたとのことです。

固定席中心の執務スペースを約30%減らし、その分コラボレーションスペースを3倍に拡大したとのことでした。これは、新しい机や椅子を並べる“リニューアル”ではなく、「生活者の習慣を楽しくすることを目指す社員にとって“ベストな場所”をつくる」という目的に基づいた判断だったとされています。結果として、面積が減っても働く場所の選択肢が増え、社員の行動にも変化が見られ始めているというお話でした。

社員の自発性が育まれる、進化し続けるオフィスとは?

ライオン本社の各フロアは、決められた使い方を「守る」場ではなく、社員が「自ら使いこなし、発展させていくこと」を前提に設計された空間だそうです。その結果、設計時の想定を超える使われ方が次々と生まれているといいます。

4階の共創フロアでは、社内ベンチャーによる街歩き企画や謎解きイベントが開催され、週末には2,000人規模の来場に発展したそうです。11階の親子ルームでは、ガラスの壁にお絵描きができるクレヨンを設置し、ここでしかできない時間の過ごし方ができるよう、細やかな改善も進んでいると紹介されていました。こうした“想定外の使われ方”は、社員の自発性を引き出すことを前提にした設計があるからこそ実現していると説明されていました。

4階共創フロア。可動式の什器で構成されている。

自然を感じるエントランスを、"ライオンらしさ"が伝わる場へ

1階エントランスは、天然ミントの栽培スペースや豊かな植栽、3Dネイチャーサウンドを配した、「自然の中にいる心地よさ」を体感できる開放的な空間です。ハミガキの原料の一つである天然ミントを栽培しており、来訪者に製品へのこだわりを直接伝える役割を担っています。

当初想定していなかった活用方法として挙げられたのは、入社式の会場としての利用です。2023年、人事と若手社員の有志が「新入社員にとって最も“ライオンらしさ”を感じられる場所はどこか」を再検討した結果、当初予定していた11階ホールではなく、この1階エントランスでの開催を決定しました。外からも式の様子が見えるガラス張りの空間特性を活かし、会社全体で新入社員を迎え入れる雰囲気を演出。さらに、このエントランスで入社式を行ったことをきっかけに、新入社員の代表が天然ミントを植える体験が恒例行事となりつつあります。製品の原点である「自然の恵み」に実際に触れ、ライオンの企業理念を身体で感じてもらう機会となっています。また、その珍しい取り組みがメディアに毎年入社式の時期に取り上げてもらえるようになり、ブランディングとしてもうれしい結果を生み出しています。この事例は、オフィスが「社員の自発性を引き出す舞台」になってきていることがよく伝わってきました。

1階エントランス。

ミント畑。来訪者は実際にミントを触り、五感で楽しむことができる。

オフィス見学の様子

オフィス見学を実施し、ライオンらしいこだわりに溢れたオフィスをご紹介いただきました。

来客向けミーティングルームフロア内の展示スペース。会議室にはすべて商品名やブランド名がつけられている。

ペットが来た時に安心して過ごせるペット専用ルーム。わんわんニャンニャンDAYなど社員が実際に触れ合えるイベントも開催される。

自社商品で構成されたアップサイクルアート。

GENKIアクションルーム。トレーニング機器だけでなく、卓球台やボルダリングなど社員で賑わっているそう。

ライブラリーと親子ルーム。子連れ出社した際にも安心に働ける環境が整っている。

参加者からのリアルな感想をご紹介

見学会の後はオフィス運用についてのお悩みなどの質問会が開催され、大盛況で幕を閉じました。

FM会では、ご参加いただいた方へアンケートを実施しています。オフィス見学と座談会へご参加された方の感想をご紹介します。

・ライオン本社オフィスは社員の輝きを感じられる場所として考えられていて、その輝きがまた他の従業員の刺激となり、シナジー効果を生み出すというコンセプトをお聞きし、非常に素晴らしいと感じました。 仕事をスポーツに置き換えるなら、オフィスはまさにスタジアムや練習場のような存在になるのだろうと思いました。 さらにソフト面では入社式のプログラムによって人の感情を生み出し、ハードのオフィス空間がより活性化を促されるという仕組みを実際に拝見させていただき、大変感銘を受けました。

・執務エリア以外に焦点を当て、オフィス全体の特徴や取り組みについてご紹介いただいた点が大変参考になりました。 特に印象に残ったのは、明確なコンセプトを持ちながらも、実情に合わせて常に変化し続ける運用を行っている点です。固定的な設計にとらわれず、利用状況や社員ニーズに応じて柔軟に改善を加えている姿勢が印象的であり、実践的かつ持続性のあるワークプレイスづくりを実現していると感じました。

質問会の様子。

今回もたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。(参加者:23社/36名)

FM会では、ご担当者の方にオフィスファシリティの詳細を気軽に聞ける機会をご提供しています。今後も、お気軽にご参加ください。

過去のFM会レポートはこちらをご覧ください。

ライオン新本社動画をご提供いただいております。どうぞご覧ください。

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