10.Mar.2025「Blombo」コミュニケーションを花咲かせる、全く新しい形のオフィス家具が誕生
―せっかく出社したなら大いにコミュニケーションをとってほしい―
これは経営者の共通の願いではないでしょうか。
リモートワークと出社のハイブリッドスタイルが定着し、コミュニケーションに課題を持つ企業が増えているというニュースをよく耳にします。せっかくオフィスで対面の会話が実現できるのであれば、より自然にフランクな、コミュニケーションが生まれるのが理想ですよね。
立ち姿勢でもリラックスできる身体適合性を意識してデザインされた「Blombo」は、花をモチーフにした愛らしいフォルム。活発なコミュニケーションを促す画期的なデザインが特徴です。
本記事では、Blomboの開発背景やデザインへのこだわり、そしてプロジェクトに関わったメンバーの想いを深掘りします。

デザイナー

株式会社ディー・サイン
デザインディレクター 渡辺 博之

株式会社ディー・サイン
デザイナー 麻谷 和生

株式会社ディー・サイン
デザイナー 小宮山 苑佳
Blomboが誕生した背景について教えてください。
渡辺:Blomboは、「椅子に比べて机は長らく大きな進化がみられない」という1つのリサーチテーマから始まりました。
椅子は、形状もデザインも素材も時代背景によって様々に進化しているのに対し、机はずっと「天板があって脚がある」という形状がほぼ変化していない。
今の時代、多様な働き方やコミュニケーションの取り方がある中、この何百年前からあるような天板と脚の組み合わせのままで本当に正しいのだろうか。時代に合わせた、コミュニケーションを加速させるような机とはどういうものか、と考えを深掘りしていったという流れでした。

Blomboは、立ってコミュニケーションするテーブルで、寄りかかれることも特徴の一つですよね。
渡辺:いろんなカテゴリーのコミュニケーションがある中で、「立ちながらのコミュニケーション」にフォーカスしました。
一般的なデスクセットにおける対面のコミュニケーションスタイルは、天板720mmの高さの机で椅子に座って会話する。それが、立つことで顔が近くなり、さらに前のめりになるともっと深いコミュニケーションができる。そこからさらに、前のめりになるためには、寄りかかるようなスタンスの方がよりリラックスして姿勢を保てるのではないか、というように議論が発展していきました。


中世ヨーロッパの挿絵などを見てみると、寝転がりながら食事したり喋ったりお酒を飲んだりしているんですよ。もしかして人のコミュニケーションって本来こうあるべきなのかな?と発想が広がりました。「円卓の騎士」が平等の象徴でもあるように、座る人の上下関係がわかりづらく、フェアネスにつながることから自然と丸いテーブルのデザインになっていきました。
単なる円形ではなく、目を引くお花のカタチになったのはどうしてでしょう?
麻谷:最初は丸いドーナツ型のクッションのようなものにもたれかかるデザインもありました。もたれかかる時に少しクッション性があるようなカタチを様々試行していく中で、花のカタチが生まれています。花びらのシェイプが上向きか下向き、どちらの方が心地よいのか?角度は?など、いろいろとディスカッションしながらアップデートしていきました。
花びら 1枚1枚のパーツを部品で支えているという構造なのですが、パーツも多くなかなか複雑で、意匠性と機能性をどう両立させるかといったところのツメはかなり緻密に行いました。

渡辺:我々が原案を作った後、途中からカリモクさんと協業できることになり、開発にグッとドライブがかかりましたね。モックアップまで一気に進められたのは、家具メーカーのカリモクさんたちの存在が大きかったです。
麻谷:そうですよね。花びら1枚だけのモックアップも作っていただき、角度を複数検証し、クッションの厚みやファブリックの柔らかさなど、丁寧に決めていきました。
渡辺:現物を見たうえで、構造的にここがちょっと弱いとか強いとか、そういうやり取りをするとすぐに現物を作ってくれ、手を動かしながらスペシャリストとして応えてくださる。 一緒にやらせていただくメリットを実感しました。

中央部分は配線が通るような設計。オプションでホワイトボード天板も選択可能。

ネーミングはどのようにして決まりましたか?
小宮山:はじめは寝転がる=枕を連想し「ピローテーブル」という案もあったのですが、「寝る」と「働く」がマッチしないことから別名を検討することになり、みんなでアイディアを出しあいました。ビジュアルがお花を彷彿とさせることから、英語で「咲く」を意味する単語の「bloom」という案が。またコミュニケーションをテーマにしていることから、おしゃべりするときの擬音の英語「blah blah」を掛け合わせてみました。そうして名づけられたのが「Blombo」です。日本語でよく“会話に花が咲く”って言いますしね。
渡辺:花に集まる虫たちが楽しく会話する、という感じでビジュアルとしても使い方としても見合うネーミングですよね。ちなみに、虫っていい匂いとか光に集まってくる習性があるので、それをヒントに、香りや照明をつけようみたいなオプションも考えていましたね。

人と人とが偶発的に出会うスポットに置くことで、クイックなコミュニケーションを生み出すことができる。(SBテクノロジー株式会社の事例より)
普段はプロジェクトマネジメントやオフィスの設計などに従事する皆さんですが、今回のように製品化するプロダクトへ携わってみて、いかがですか?
麻谷:実は、アイディアを出してそれをストックするという活動は以前から行っており、他にもメンバーとデザインだけを起こしたアーカイブはいくつかあったんです。その中でも、Blomboに関しては社内で発表したときの反応が良くて、周囲が協業先をかけあってくれました。そうしてカリモクさんとお仕事をさせていただき、製品化すなるまで着実に進められたことに達成感を感じます。
実際に家具を作っている工場での様子を見せていただいたり、精密な家具図面を起こしてくださる方と直接話す機会をいただいたり、素材を選ぶ視点や使い方にも触れられたり、普段なら絶対にできない貴重な経験でした。今後こういった活動を広げていくためには、重要な一歩目だったと思っています。
小宮山:私は実際お客様のオフィスに導入するところを経験させていただきましたが、コンセプトが立っていてお客様にも説明しやすいです。共感していただいたり、嬉しい反応をいただけています。先日も竣工したオフィスでオープニングイベントがあり、自然とBlomboに人が集まって会話が生まれていたり、お酒を置いたりして使われるところを見ることができました。その日は建築家やアーティストなどいろいろなプロフェッショナルが来場しており、そんな皆さん者から興味を持ってもらえて、とても誇らしい気持ちでした。

立ちながらの会話の中心にBlomboがあれば会話もしやすくなりそう。(sync株式会社の事例より)

イベントでの1コマ。リラックスしている様子が笑顔と足元でわかります。(sync株式会社の事例より)
渡辺:ディー・サインはワークプレイスをデザインする集団であり、「ハタラくをドライブさせる」ことを意識しています。Blomboはその有志メンバーの活動から実際に形になった製品です。僕はイギリスのCONRANでずっとプロダクトデザインをしていたのですが、その頃とは全然違うアプローチでデザインできました。ワークプレイスで家具を使うイメージを明確に持っている我々だからこそデザインできた、価値あるプロダクトだと思っています。それが最後までやりきれたというのは一生の財産ですね。
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