6.Jan.2016遠く離れたオフィスへの思い | Brainlab Japan

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社員が所属する企業への帰属意識を持つと、企業にとって良い影響が生まれることは、あらゆる場面で語られてきています。
社員に対するさまざまなサービスと共に経営陣からのメッセージや社風を感じることができる工夫が大切になってきます。
外資系企業にとって言葉も文化も違う国外拠点で活躍する社員に対して帰属意識を高めることは容易ではありません。

今回は世界17か国にオフィスを置く、ドイツ本社の医療機器メーカー、“ブレインラボ株式会社(Brainlab Japan)”のミハエル・メイ(Michel May)さんにお話を伺いました。

医療機器メーカーというと、固いイメージを抱きがちですが、ブレインラボのHPトップ画面は意外にも彩度の高いピンク色の画面から始まります。
ブレインラボは斬新で先進的なアイディアを大切にしつつ、簡単な操作性を重要視したシンプルなモノづくりをする、医療やヘルスケア分野で貢献している企業です。

2015年にオフィスのレイアウト変更をし、ブレインラボらしさを、日本にいる社員やパートナー、クライアントにまで伝わるようなオフィスにすることで、働き方に良い影響を与えられたそうです。どんな取り組みをされたのか、オフィス見学をしながらインタビューさせていただきました。

オフィスを大規模にレイアウト変更することにしたきっかけは、何だったのでしょうか?また、どんな風にしたいと思っていましたか?

ドイツ本社でオフィスの大規模な改修があり、その流れでマーケットの中心だった支社に対して、オフィスのガイドラインの変更が通達されました。
それがきっかけに検討を始めました。
ドイツ本社はブレインラボらしさがとてもよく表現されていますので、東京のオフィスでもコストを抑えながらも、ブレインラボが大切にしていることを表現したいと思っていました。
また、医療機器メーカーの業界には物静かなイメージがありますが、働く社員にはいつも情熱を持って仕事に打ち込んでほしいと思っていました。
5年前には施術が難しかった手術も、わたしたちの開発した機器やソフトによって格段にパフォーマンスが向上しました。

現CEOのステファンは以前、こんな話をしていました。
「我々の会社で働く一人一人の小さな仕事の積み重ねが、患者さんに良い影響を与えています。我々の技術によって助けることができた患者数を、全世界の社員数で割って計算をすると、社員一人につき1000人の患者さんを助けた計算になります。職種は関係なく、ブレインラボの社員一人一人の仕事が患者さんの助けになっているのです。」
私たちは今回のプロジェクトを機会に、“より自分たちの仕事に誇りを感じながら、情熱をもって仕事に打ち込める職場にしたい”、そして“協力し合いながら働き、会社に愛着を持ってほしい”と思っていました。

いつから日本にオフィスを設けていましたか?また、以前はどんなオフィスでしたか?

15年前から日本に進出しています。
最初は代理店との取引が多く、特にオフィスを設けていなかったのですが、7年前に初めてオフィスを東京に設け、そして5年前に今のビル(東京・田町)に移りました。
その頃のオフィスは、ビルの標準装備をそのまま活かした、日本にありがちなオフィスでした。
ブラインドはいつも閉めきってあり、ビルに標準装備で備え付けられている蛍光灯のライトで仕事をしていました。
朝から夜まで明るさが変わらない中で、一人一人がデスクトップパネルで囲われたデスクにて仕事をするという環境でした。
どこにも休憩スペースや植栽がなく、なんだか倉庫のようでしたね。(笑)
日本人には違和感がないかもしれませんが、とても閉鎖的な空間に思えました。
また、あらゆるところに壁があり、ミーティングスペースを必要以上に使って会話しているような気がしていました。
私が日本に来たのは3年前で、この状況を見たとき、大変もったいないと思っていました。

では、具体的に変えた部分を見せていただけますか?
まずはエントランスからお願いします。

エントランスでは、日本らしさを表現しています。ドイツ本社の会社ですが、日本のマーケットで仕事をしているので、日本らしさを感じられるようにしています。ここに来ると五感が刺激されるような空間にしてもらいました。
特に視覚、嗅覚、触覚、聴覚、ですね。

写真で伝わりにくいかもしれませんが、日本庭園の雰囲気を出しています。エントランスは土蔵の入り口のように少し暗く演出し、水が湧き出る音がします。照明の暗さと水の音が、訪れる人に凛とした空気を感じてもらえるようです。
また、朝、昼、晩と2時間ごとに香りを放つように設定しており、朝であればリフレッシュするような香り、夜は森林の落ち着く香りがします。香りが気分を明るくしたり、落ち着かせてくれたりすることを意図して設置しました。
壁は見てわかるくらいにザラザラとした質感を表現し、ただ暗いだけではなく、あたたかな雰囲気になっていますよ。
そして、この飛び石のようにみえる3つの石にも意味があります。

企業の理念が3つあり「シンプリシティ」「誠意」「インスピレーション」 を表現しています。
それから、受付システムは自分たちでつくりました。
シンプルで使いやすい自社に合ったシステムが欲しく、弊社のITとマーケティングの担当者が一緒に製作しました。

また、エントランスのドアには、私たちのミッションを書いています。
会社として大切にしていることをエントランスで表現することによって、社員だけではなく、会社を訪れるパートナーやクライアントなど皆さんに伝えることができます。

(訳:私たちは医師や患者様と共に、医療テクノロジーとナレッジを今以上に効果的、かつ身近なものにする環境を作ります。)

執務エリアで、以前と変化したことを教えてください。

いくつかありますが、全体的に壁を取り払い、照明を変え、明るくなりましたね。
物理的に閉鎖がちだった空間を、壁を減らすなど開放的にすることで、気分も開放的になり、コミュニケーションも円滑にとりやすくなりました。
仕切られた会議室は必要最低限にし、オープンな4人掛けテーブルや、植栽を囲った丸テーブルを増やしました。これにより、コミュニケーションが促進され、社内の簡単なミーティングにはそちらを使うようにしています。
壁が少なくなったことで、日光が届くようになり、今では常にブラインドを上げたまま仕事をしています。

執務エリアでは、ビルの既存照明を消灯し、LAVIGOというデスクライトを使用しています。
このライトは太陽のリズムにリンクし明るさを調整する照明で、しかも人の気配を感知し、適切な照度を自動調光し節電してくれます。
人が来ると自動で点灯し、いなくなると時間をおいてから自動消灯されます。
アンビエント照明と呼ばれる手法で、光を天井にあてる間接照明です。これはとても目に優しい光ですよ。
植栽を増やし、デスクなどの家具もスチールから木目を活かした素材に仕上げを変え、よりナチュラルな雰囲気となり、明るい空気感がでましたね。主な植栽の管理は専門業者にお願いしていますので、いつもきれいな状態が保たれ、心地よいです。小さい植栽は、社内のメンバーがいつも健康に育ててくれています。

執務エリアに唯一立っている壁には、ブレインラボの歴史と、商品開発の歴史、それから社会的な歴史が紐つけられた年表を大きく掲載しています。
これはドイツ本社にもあります。
いつも目に入るところに掲載してあるので、会社の歴史を誰もが思い出しやすく、また誰もが社外の方へ説明できるようになりますね。

働き方で大きく変化があったのはどのあたりですか?

分かりやすいところで言うと、フリーアドレスの導入です。
出張で全国を週に何度も飛び回るメンバーがいるので、フリーアドレス専用のテーブルを一部設けています。レイアウト変更をする前は、フリーアドレスが無かったので、カフェで仕事をしてもらうことも多く使いづらかったと思います。
今では、フリーアドレス対象のメンバーにはキャビネットを1人1台使ってもらい、それを壁の中に収納しています。

この壁の裏側が気になります!見せていただけますか?

はい、半分丸く囲われた階段状のスペースになっています。
ここは「土間」と呼んでいるスペースで、靴を脱いで上がります。
プレゼンや商品説明会などのイベントに使用したり、メンバー同士の情報報告の場でも使います。40名くらい入りますね。
台座の下は収納になっており、非常用の防災グッズや備品などを収納しています。
今はちょうどクリスマスの時期に合わせて飾りつけされていますが、ハロウィンの時期は別の飾りつけでした。毎シーズンなにかしら飾りつけをしてくれるメンバーがいるんです。

最後に、このテーブルにも意味があるのでしょうか?

これは、ワークベンチと呼ばれるもので、ドイツ本社やアメリカの支社にも似たものがあります。私たちはメーカーですので、常にモノづくりの姿勢を忘れないために置いているんです。
ここは毎シーズン、社内のメンバーが素敵に飾ってくれています。
こんな風に会社に愛着を持ってくれることは嬉しいですね。
これからも引き続き、もっと社員が働きやすく、会社を好きになってくれるよう、オフィスの在り方も進化させていきたいと思います。

 

 


ミハエルさん、ありがとうございました。
取材中もあちらこちらでコミュニケーションが活発にされていました。それも、この明るく開放的な雰囲気のオフィスが促進しているように思えます。

最後に、動画でプロジェクトの概要と、オフィスの様子がご覧いただけますので、是非どうぞ!

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