10.Jan.2017イノベーションを生み出すオフィスに欠かせないもの

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今や「イノベーションを欲していない企業はいない」と言っても過言ではないでしょう。企業がイノベーションを生み出すために、オフィスに欠かせないものとは何でしょうか?

そもそも、”イノベーション”って?

イノベーションとは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のことを言います。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されることもあるようですが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味します。※1

全てのイノベーションが最初から大きなムーブメントとなり、社会的な変化を起こせるわけではありません。イノベーションはその大小にかかわらず、クリエイティブな思考からはじまります。そう、はじめは小さなアイディアを生むことから始まるのです。

アイディアは単独ではなく、ネットワークとして存在する

アイディアが生まれる瞬間を表現する言葉には様々なものがあります。「ピカッと来る」 「衝撃が走る」「神が舞い降りる」「ひらめいた!」なんて言いますね。
アイディアは、過去の記憶から生み出されます。記憶は、脳の一部位に蓄えられておらず、それぞれ個々のニューロンに保存されています。人間の脳には約1000億個のニューロンがあって、その1個ずつが別の数千個、ともすると数万個のニューロンと連絡し合っています。
そして、脳内で伝達し合うニューロンの今まで構築されていなかった新しい組み合わせ、新しいネットワークが”新しいアイディア”なのです。

人間が限られた時間の中で記憶できる情報には、限りがあります。インターネットという情報媒体が生まれてからは、その速度が加速しました。とはいえ、1人より2人、2人よりさらに多くの人々の協働が図れるほうが、アイディアの生まれる速度が加速し、思いもよらぬ展開を導く可能性が高まります。

ソーシャルなスペースから生まれるもの

企業の制度が許せば、今の時代はどこでも仕事が出来ます。作業をこなすだけであれば自宅でも構わないという企業もあるでしょう。
しかし、真に素晴らしい成果をあげたいのならば、 まるで道を歩いているときに偶然出会うように、ワーカー同士が出会い、話し、アイデアを交換する場を提供することが重要です。イノベーションにはお互いの”知”を共有し、”恊働するキッカケ”をつくることが何よりも近道です。その役割はオフィスが担うべきものです。

イノベーションには、調ったカオスが必要

画一的な環境は、画一的な作業には向いています。しかし、アイディアを生みイノベーションを起こしたいのであれば、同じデスクの島が並ぶだけのオフィスは向いていないでしょう。

もしも明日からあなたのオフィスがこんな風に変わったら…あなたの企業にはどんなことが起きるでしょうか?・・・自分たちの仕事に新しいインスピレーションを与えてくれる場所。しかも健康に過ごせて、同僚との活発なインタラクションもできる。そして集中作業にも向いている席もある。・・・

・・・親子ほど歳の差がある二人が談笑しながらコーヒーを淹れているかと思えば、その向こうではハイテーブルでプレゼンの資料を広げている。こもった小屋のような場所で電話会議をしている人もいれば、窓際の明るいソファ席で話している二人は今期の面談をしている様子。だれもが自分で場所を選び、自由に自律した活動をしている。・・・

そんなバランスの”調ったカオス”が、オフィスには必要なのです。

画一的なオフィスのモデルには特別悪いところはありませんが、特別いいところもないと言えます。画一的なオフィスのモデルは、ひとつのソリューションを、すべての社員とすべての部署に同じように適用したものです。

でも実際は、同じ仕事をしている人ばかりではありませんし、毎日同じ時間に同じワークをしているわけではありません。

バランスは、さまざまな要件を積み上げて平均値を探すことでは得られません。バランスを構築するには、多様性を創り出すことが必要です。

調ったカオスをつくる例

固定化するより、柔軟に変化できるものを

”欲しいときに欲しい空間をつくれる” そんな自然発生的にレイアウトを変更しやすいことが重要です。例えば、異なるワークモードに簡単に切り替えができることです。

≫例:大人数、少人数の活動のために、広さの可変性をもった活動場所を創る。
≫例:ユーザ−が自由にスペースを構成できるように、可動式家具を採用する。
≫例:オープンスペースだけではなく1人で集中できるスペースも提供し、ワーカーが必要に応じて選べる事が重要。

緩急つけた刺激のある場所を

刺激はクリエイティブな思考に「活」を入れ、持続させる力があります。ここでいう刺激とは突飛なものではなく、逆に心地よさを感じるための刺激を指します。

≫例:溢れる自然光と景色を提供する。
≫例:スペース中に自然の要素や素材を使用する。
≫例:人の気持を和らげたり、高めたりする作用として色彩をうまく活用する。

活用されるには、配慮が必要

”調ったカオス”と書いたように、ただのカオスではありません。調えることが重要です。まず、仕事がはかどるスペースとは、活用されやすい場である必要があります。

≫例:頻繁に使用されるツールは効率的に収納され、容易にアクセスできる場所に配置する。
≫例:ただ本棚を置くだけではなく、読書を推奨し、ゆっくりと集中して読める環境をつくる。

オフィスはソーシャルなスペースであるべき

イノベーションを起こすには「共有する」というマインドが要求されます。個人の発見や記憶は最終的にはグループのものとして所有されるほうが、効率的です。それは早ければ早いほうがよく、無駄なプロジェクトの遅れやエラーの発生を削減するためにも大切なことです。

そのためには、信頼関係や結びつきを構築することが不可欠な要素です。仕事以外の会話も楽しめる関係を構築する必要があります。要するに、”気軽に話しかけやすい”環境をつくることが大切です。

≫例:フードやドリンクはコミュニケーションの潤滑油のようなもの。そこへ人が集まり、自然と情報交換の場所となる。

≫例:集中力を妨げない程度に音楽を流すことで、”シーンとした気まずさ”が減り、気軽に質問をしたり、意見交換をしやすくなる。

最も重要なことは、”組織が、オフィスが、生きているか”

何よりも重要なのは組織が活動しやすい状態になっているか、ということです。

例えば、見た目重視のレイアウト、機能性の高いデザイン家具を置いただけでは、オフィスは機能しません。

もしも、働き方に向き合おうとせず、オフィスのレイアウトを明日からフリーアドレスにしたところで、自分たちの仕事に新しいインスピレーションを与えてくれる環境にはならないでしょうし、それがあなたの企業にとっての答えとは限りません。すべては、”自分たちらしく” つくることが重要なのです。

毎日どのくらい会議が行われているのか、

本当に個室が必要な定例会議はどの程度か、

毎日どのくらいの人が自分の固定席に座っているのか、

荷物の管理、書類の管理は今のままで良いのか、

モバイル機器が支給できるのか、

ファイルサーバーへのアクセスは容易にできるのか、

セキュリティは担保されているのか・・・などなど、見直すべき点を挙げたらきりがありません。

企業の文化が新しい環境に追いついているか、制度が新しい環境と真に相性が良いのか、イキイキと働くための環境をつくるには、様々な観点からの思考を凝らす必要があります。

 

 

 

※1 

参考元:ウィキペディアより

カテゴリー

オフィス / ワークプレイス / イノベーション / 働き方

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