20.Jun.2016働く場に必要なのは“美しい誤解” | 株式会社ドリームデザイン。

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広告/ブランド/コンテンツのプロデュースやデザインを行っている株式会社ドリームデザイン。
今年5月にオフィスをご移転され、働き方を大きく変えたそうです。
今回はCEOの石川 淳哉さんへのインタビュー。名コピーがたくさん生まれたインタビューでした。

きっかけは、“時代の流れによって、仕事の中身が変わったこと”だった。

移転前は、どんなところで働いていましたか?

前のオフィスは、麻布十番にありました。駅徒歩0分で、有名デザイナー設計のビルということもあり、分かりやすい建物でした。
そこに入居した当時は、そういった物件に入居していることに価値があった時代でした。会社の制度としては、定時の出退勤を求めていませんでしたが、個人のデスクが決まっていましたので、なんとなく「時間通りに来ていた方が良いんじゃないか」という雰囲気はあったと思います。
しかし、移転後はフリーアドレスというスタイルを選択しています。パソコン1つあれば、どこでも仕事場になります。

以前と考え方が変わって、今のワークスタイルを考え始めたきっかけは?

まず、仕事のオファーが変わったことでしょうね。時代の流れだと思います。
2008年に初代iPhoneが日本で発売されました。それが大きなきっかけとなって、僕らの仕事の中心だった広告事業が大きく変わりました。
スマートフォン発売前の時代は、僕らの仕事はいわゆる広告の4マス(TV/新聞/雑誌/ラジオ)で高額費用をかけた仕事が中心でした。しかし、その広告自体の在り方が、スマートフォンの普及やSNSの出現によって変わってきました。
キャンペーン一発に数億円をかけるような仕事が減り、詳細に計画を練るコンテンツをつくる仕事が増えました。結果として大人数の会議も減りましたね。
消費者の4マス広告に対する反応は薄れ、それよりも口コミで聞いた情報やSNSで何度も目にする情報をより重視する傾向になった。そこにIoTやAIなど、新たに生まれた技術の普及により、広告単体で考える仕事は減り、僕らが扱う領域が広がっていきました。
僕らは多様化した最新技術を駆使しながら、皆さんが興味を引くようなコンテンツを考える存在に勇気を出して変化する必要があったのです。より自由な発想で、もっと早く広くアンテナを立てていなければなりません。

「先に動いたもの勝ち」と決断した、企業組織の再編。

そういったビジネス環境に変化が生まれたことを、経営者としてどう捉えていましたか?

これは、先に動いたモノ勝ちだな」と思っていましたよ。ビジネスの変化をチャンスにすべく行動するのが経営者ですから。
単にオフィスを移転しようと思ったことが最初ではなく、もともと経営面での組織再編を検討していたことが先でした。
ドリームデザインとして3つあった事業部を、それぞれ1つの企業として設立し、3社それぞれが独立採算性をとることを決断しました。
サービス提供をするためのクリエイティブな面だけではなく、経営面もそれぞれ3人の社長に任せる形をとりました。

新しいオフィスは各企業の独立心を高めつつ、協業を図るための空間設計。

このタイミングで移転も検討したのには、なにか意図があったのでしょうか?

仕事のやり方も変わり、メンバー自身もそれぞれが独立心を持って仕事に臨まなければなりません。
そんな中で、働く空間を変えるというのは、“ドリームデザイングループが伝えたいことを体現してみせることになる”と考えていました。
新しいオフィスでは、ドリームデザイングループとして力を合わせて協業したい時と、”独立した1企業”として個々がグッと集中し、自立した活動が必要な時があります。
オフィス空間としても、3社それぞれが自立しながらも、協業することのできる場を求めていたのです。

新しいオフィスはどんな空間ですか?

オフィス移転のプロジェクトを任せていた企業からの提案で「home in house」というコンセプトでつくっています。
3つの組織の自立性を表現するために、1フロアの中に3つの“やぐら”を建て、その周辺をフリースペースがぐるりと囲うレイアウトです。
会議室はグループ共通の会議室が1つだけあります。

基本的に、会議はそれぞれの“やぐら”の中で行い、グループとしての会議などに共通の会議室を使っています。
以前のオフィスには5つの会議室がありましたが、今はグループ共通の会議室が1つだけです。
このビルは共有の会議室を時間貸ししているので、必要な時に予約して借りることができます。会議室の面積が減ったことで、固定費削減も実現できました。

単にオシャレなだけのビルではなかった。ここはアイディアを生む場所。

ビル共用の会議室があるなんて、珍しい物件ですね?

そうなんです。
僕らが入居しているビルのエントランスを入って、変わった物件だな、と思いましたよね?
この「THE WORKERS&CO」というビルは、一階にBeer Barがあり、その隣に仕事もできるラウンジがあります。
そのラウンジを通ってオフィスフロアへ行くわけです。最上階のルーフトップには、東京タワーを目の間に望みながら寝転ぶスペースがあり、Barを出してイベント開催もできます。
ビル全体がコミュニケーションプレイスになっているんです。

新しいオフィスで働き始めて1か月程度ですが、いかがでしょうか?

メンバーみんなの“脳みそが動いてきたな”というのが、今の感想です。良い途中経過ですね。変革を楽しむ人と一緒に働きたいと思っているので、それを企業として体現できたかな、と思います。
このビルには、クリエイティブな方が多く入居しているようです。屋上のテラスも自由に使えて、普段の生活の中で感覚を刺激されることがよくあります。
クリエイター魂に、火をつける何かが転がっているというか。しかもそれが、デイリーに。今までの環境と大きく違うのはそこでしょうね。
僕らの仕事は、どこに居ても成り立ちます。“自分の責任を果たして、効果的なモノをつくる人間”が評価される仕事です。
それでも、『あの人はまだ会社に出勤していない』みたいなことを言い出す人って、どんなやり方しても絶対出てくるんですよ。だけど今回の移転で、『同じ時間に出社して机に座っていることが偉いんじゃない』っていうのを、会社が見せた感じですかね。

働く場所は、僕らに必要なことを与えてくれる場所であるべき。

僕らの仕事は、ポスターで言うと、“通りすがりに振り返させること”なんです。クリエイティブっていうのは、合理主義とは相反する仕事です。“合理=理にかなったもの”というのは、自分が知っているものですから、だれも振り返らない。“かわいい”、“かっこいい”も想像の範囲からズバ抜けていなければならない。

10年前と比べて、皆さんが目にする情報量は数百倍以上になっています。そんな情報が溢れている社会で、広告という僕らの仕事も変わってきている。そんな世の中で、僕ら自身が変わらなければ、クリエイティブカンパニーなんて生き残れないんですよ。みんなと同じように過ごしていたら、みんなが驚くようなものなんて作れません。

僕らの仕事は、80点のモノを沢山創る仕事ではなく、最低101点以上のモノを毎日1つずつ、創り続けなければならない。毎日、小さな発明をしているようなものです。僕らのオフィスは、そういった小さな発明を安定して生みだせるような、デイリーな刺激が必要だったんです。
オフィスは僕らにとって、オフィスと呼ぶべき場所ではなく、非合理な発明を生みだすためのアトリエや工房のような場所かもしれません。

働く場に必要なのは“美しい誤解”。  良いものを生みだせそうな“気がする”環境を。

どこで働いていても、100%満たされた状態なんてありえないものですが、「この雰囲気の場所で作業に取り掛かったら、なんか生まれそう」っていう“美しい誤解”は重要だと思いますよ。
それが働く場の役割であり、経営者はそういった“美しい誤解”を生むような仕掛けをしてあげることが重要だと思います。
雑居ビルに、いわゆる事務デスクを置いて「カンヌの広告賞をとってこい」と言われたって「こんなところで出来るか!」って思うでしょう?(笑)
働いてくれているメンバーが「何か生まれそうな気がする」っていう環境をつくってあげるのが経営者の役目だと思っています。

それと同時に、クライアントが来て「あぁ、こういうところで仕事している人たちなら、何か生まれるかもなぁ」って思ってもらう、そんな“美しい誤解”も必要なのです。
空間のパワーって凄くて、「ここに仕事を依頼したら高そうな気がする」とか「ここの人たちなら今までにない斬新な案を出してきてくれそうだ」とか、そういう想像を掻き立てるんですよ。だから、今の時代は“カジュアルなんだけど質の良さそうな、フレンドリーな空間”のテイストが好まれるのでしょうね。

 

 

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